8月2日定例会への提案: 訴状を深く学習し、追加書面や公判の内容を豊富にしていこう。7/31/2014

訴状について、意見と提案をいたしましたところ、多くの方からご意見をいただきました。ありがとうございます。

まだ地裁との関係で、委任状の整理と原告の確定が大きな課題となっていますが、それが終わるといよいよ公判がはじまります。

私たちが「メーカー訴訟」を推進していくにあたり、訴状を中心とした公判の進め方が、原告相互(海外を含む)、原告と弁護団などの結びつきの中心となっていくと思います。

8月2日午後には、定例会が開催されます。しかし私は所要で出席することができませんので、以下のことを提案したいと思います。
(長文でこめんなさい)

【提案】
各地域(海外を含む)で原告は訴状の学習会を開き、訴状を深く学習する。
そこで出された意見などを、まとめ弁護団の方々とよく意見交換をし、追加書面や公判の内容を豊富にしていく。

【理由】
1.訴状の内容は、非常によくできていると思います。
http://maker-sosho.main.jp/archives/makesoshosojo.pdf  (訴状全文)

第6章 損害   第5 損害  (P,54~)
原告の類型分けを行っている点。
5月21日の大飯3・4号機差し止め判決でも、原発から半径250km以内の住民に対する判決である点を考えれば、原告の適格条件で訴訟が退けられる可能性を排除しています。

第7章  原子力損害賠償法4条1項及び3項の違憲性..64
から9章で、原賠法が責任集中制度を取り、メーカーを完全に免責していることの違憲性を明らかにしている。

私は特に
第10章     原賠法5条に基づく代位求償…..155
が非常に重要だと考えます。
前記、原賠法の違憲性が裁判所で認定されなかった場合でも、原賠法そのものの求償権(5条)にもとづいて、私たちに「代位求償」の権利があることを明確にしていること。(東電はメーカーに対してこれまで求償を要求していないこと、またこれからもその意志がないこと)

こうした、訴状についての論理構造・構成を私たち原告はしっかりと学ばなければなりません。

2.各地域での学習会の成果を、弁護団と原告がしっかり連絡をとり、訴訟の内容を充実させていくことが必要

公判の進行のためには、原告の集団と弁護団との訴訟内容をめぐってのしっかりとした意見交換が重要になります。
原告が原告団としてしっかりと組織されること、訴訟を担う弁護士の方々が弁護団としてしっかり組織されること
は極めて重要なことになります。

以上

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上記提案に関する参考資料。

【訴状についての意見の例】
※ あくまで一例として提案します。

【意見例1】
原賠法5条の「求償権」をめぐって
私は、韓国で「メーカー訴訟」の意義と原告を集めるために、日本と韓国の原賠法の比較表を作成しました。(添付ファイル)

この表を見ると、日本の原賠法と韓国の原賠法はほぼ一字一句同じで、瓜二つと言えます。しかし、1点だけ大きく異るところがあります。それは「求償権」についてです。

日本の原賠法5条
(求償権)
第五条  第三条の場合において、その損害が第三者の故意により生じたものであるときは、同条の規定により損害を賠償した原子力事業者は、その者に対して求償権を有する。
2  前項の規定は、求償権に関し特約をすることを妨げない。

韓国の原賠法4条
第4条(求償権)
①第三者の故意または重大な過失によって生じた原子力損害を、第3条の規定によって賠償した原子力事業者は、それに対して求償することができる。ただし、その損害が原子炉の運転などに提供される資材の供給や役務(労務を含む)の提供 (以下”資材の供給”という)によって生じた時には、当該資材の供給をした者やその従業員の故意または重大な過失がある時に限って求償することができる。
②第1項の場合に、求償権に関して特約がある時にはその特約による。

となっていることです。つまり違いは、事業者が第三者に対して求償権を行使できる事由は、日本が「その損害が第三者の故意により生じたものであるとき」であるのに対して、韓国では「第三者の故意または重大な過失によって生じた原子力損害」と、「重大な過失」が韓国では含まれ、日本では抜け落ちています。

この理由については、昨年、グリーンピース・ジャパンが1959年から1961年の原賠法成立過程についての資料請求に基づいて明らかにしていますので、グリーンピースの資料を添付ファイルに整理しました。

たぶん、世界では求償権について「重大な過失」が含まれているのが「国際標準」なのでしょうが、日本の原発製造メーカーは、原発における重大事故の可能性を当時から理解しており、それが会社存亡をかけた重大な問題であることを認識し、あくまで「重大な過失」の削除を主張したのでしょう。

こうした経緯は、私たちが公判の中で追加書面などで、主張すべき証拠だと考えます。

【意見例2】
核兵器と各発電所の一元的国際管理体制について

日本と韓国の原賠法はなぜ、一字一句瓜二つなのか? これには、NPT体制へとつながる、核兵器と核発電所の国際的な管理体制があります。

訴状は

第4章  本件原発事故に至るまでの背景…P.21
1953年、アメリカは、原子力政策を独占主義から国際協力推進主義へと転換させ、
1955年、日本に対し、濃縮ウランが貸与されることになった。

などの、日本の原子力開発の歴史説明がされています。また、

第7章  原子力損害賠償法4条1項及び3項の違憲性..64
第2  立法経緯….66
1  英米からの免責要求….66
2  責任集中制度が求められた理由……67

などで明らかしています。

しかし私たちの裁判が、国際標準である各発電所製造メーカーの免責条項の不当性を世界に訴え、日本や韓国の原発輸出を批判し、ノー・ニュークス権を高らかに宣言し、核(兵器と発電所)のない世界を国際連帯によって実現しようとする目的のためには不充分であり、補充していかなければなりません。

マンハッタン計画と広島・長崎への原爆投下、アメリカによる最終殺戮兵器・原爆・水爆の独占と、その独占が破れた後、1950年代のアメリカの政策転換(1956年アイゼンハワーの「平和のための原子力」政策が極めて重要だと考えます)

これは、5大大国のみが核兵器を所有する現状を容認させることその他の国への核兵器拡散の防止のため、核の「平和利用」利用を認める中で、徹底した査察を行うことによる「軍事利用」への転用の防止(核発電所は核兵器と同一の技術であり、あくまで一体のものとして国際管理されました。これが、現在の核拡散防止条約(NPT)体制へとつながっています)
日本や韓国の原発輸出は、このための西側世界への国際貢献であること

こうしたことを、資料によって明らかにしていかなければなりません。

こうした、核兵器と核発電所の国際的な一元管理(NPT体制)を見れば日本でもなぜ菅内閣がすぐに潰されたのか?
民主党野田政権が原発ゼロを口にしたとたんにアメリカから強い圧力がかかったのか?
日本の70%の市民が原発ゼロを支持しているのになぜ日本は再稼働や原発輸出をあくまで推進するのか?
自民党石破幹事長や右派は、日本の原発開発を「潜在的核保有国」と結びつけて主張するのか?
日本は1970年にNPT条約を批准したが、その直前、当時の佐藤内閣は何故NPT条約批准を拒否してドイツと協力して日本の核武装を行う可能性を追求したのか?
(NHK特集ドキュメンタリ)

こうしたことも、国際的な核(兵器・発電所)管理体制であるNPTを理解しなければ充分に解明することはできません。

NPTに関する資料は下記に多くありますが、皆様情報の所在を教えてください。
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核情報 Webページ
http://kakujoho.net/
には、読みきれないほど資料が掲載されています。

NPT条約特集
http://kakujoho.net/npt/index.html

核兵器の不拡散に関する条約(NPT)
TREATY ON THE NON-PROLIFERATION OF NUCLEAR WEAPONS
http://kakujoho.net/npt/npt.html

こうした、基本資料や現在のIAEAの役割、日米、米韓、米印などの原子力協定の内容と推移など、資料収集をともに行っていきたいです。よろしくおねがいします

注1)
「NPT体制」とは、一部の方が言うような左翼用語ではありません。
例えば
外務省ページ
「NPT運用検討会議~NPT体制の危機を救った最終文書」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol60/
国際的な核管理体制であり、「核のない世界」を目指す人達は、深く理解しなけ
ればならない体制です。

注2)
1957年12月8日 アイゼンハワー米大統領、国連総会で「平和のための原子力(Atoms for Peace)」演説
http://www.eisenhower.archives.gov/research/online_documents/atoms_for_peace.html (大統領図書館より英語原文)
http://aboutusa.japan.usembassy.gov/pdfs/wwwf-majordocs-peace.pdf (米国大使館による日本語翻訳)

【日本は世界で唯一の被爆国か?】
先のメールでの問題提起は、韓国内で広島・長崎の被爆者(70万人被爆者中約1割)や被爆2世・3世の方々や脱核運動の方々と交流するとき、いつも表題のことについて質問される問題です。
実際に朝鮮半島出身の被爆者7万人(韓国・北朝鮮)を考えると、「韓国は世界で第2の被爆国」だということができます。日本では、自民党から共産党まで「世界で唯一の被爆国・日本」という言葉を耳にします。これは韓国の被爆者や被爆2世が「世界のヒバクシャは連帯しなければならない。ヒバクシャはどこに住んでいても同じヒバクシャだ」という主張に反してしまうことになります。日本の平和運動の中にもあるこの弱点、「神話」は正されなければならない問題だと私は絶えず思ってきました。

By T. O.

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添付書類から「原賠法求償権から過失が除外された経緯」のみを貼付します。

原子力損害賠償法の成立経過
− 5条「求償権」をめぐる、グリーンピース公開の資料−

1.「メーカーの過失責任」が削除されていった経過
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/0910_details.pdf
1959/9/17原子力損害賠償補償法案要綱第一次案 〜
1960/3/17第四回原子力委員会参与会議事録

この間の求償権をめぐる審議と推移

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[1959年12月12日 原子力災害補償専門部会の答申より、該当箇所を抜粋]
原子力事業者との間で燃料の供給、設備の請負等について直技間接 の契約関係にある者の故意または重大な過失によって原子力事故が生じたとき、およびこれらの関係のない第三者の故意過失によって原子力事故が生じたとき は、原子力事業者は、これらの者に対し求償することができるものとする。(1. 原子力損害賠償責任 (5) )

[現行の原賠法より抜粋]
損害が第三者の故意により生じたものであるときは、同条の規定により損害を賠償した原子力事業者は、その者に対して求償権を有する。 (第5条より。ここではメーカーも第三者に含まれると解釈されています)

専門部会の答申が出された翌1960年の1月、2月に開催された第2回原子力委員会参与会(以下参与会。原子力メーカーなどもメンバー)と第六回原子力委員会の議論を境に、メーカーの「過失」は削除され、「故意」だけになってしまいました。

1960年2月17日 原子力損害賠償保障法案*4
原子力事業者は、当該原子力事業に関して資材または役務を供給するものがその供給に関して原子力損害を生ぜしめた場合は、前項の規定にかかわらず、故意により原子力損害を生ぜしめたときにのみその者に対して求償権を有する。
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2.原発メーカーは事故が「不安」!?
–法案から削除されたメーカー責任
投稿日 – 2013-09-10 17:42
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/-/blog/46532/
グリーンピース・ジャパン、エネルギー担当の関根氏の解説は簡潔でわかりやすい。

この文書の中段にある
<「不存在」文書の行方>に書かれていることは重要です。
「原子力損害賠償法案の問題点」文書が開示されなかった。
(私たちの裁判で、追求は可能か?)

———–
「第六回原子力委員会で出された資料についても、請求していましたが、そのうち、「原子力損害賠償法案の問題点」という文書だけが開示されませんでした。」

グリーンピースが情報開示請求をしたのは下記の3種類の文書でした。
(1) 原子力委員会原子力災害補償専門部会の第1回(1958年11月25日)から19回(1960年5月13日)までの各回ごとの議事録および配布資料
(2) 1960年 第六回原子力委員会の議事録および配布資料
(3) 原子力委員会参与会1959年の第11〜12回、1960年の第1回〜第5回の議事録および配布資料
このうち、(1)と(3)はまったく開示されませんでした。
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3.1960年第六回原子力委員会議事録
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/6thComitee-minutes.pdf

当時の参与会の名簿(昭和33年原子力委員会参与名簿)
日立製作所社長、東京芝浦電気専務取締役などの名前がある。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V03/N04/195808V03N04.HTML

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PDF P.29より

井上(政策課長)「供給者への求償は故意または重過失になっているが、重過失は供給者の不安を除くため削除することとした。」
(pdf P.33〜34)

石川(委員)「Dの求償権について重大なる過失は削除してもよいと思う」
(pdf P.34)

佐々木(原子力局長)「Makerの立場からは故意以外のものは全て免責してもらいたいという意見をもっており、設置者、保険者、国の三者間で問題を解決していきたい。」
(pdf P.35)
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4.グリーンピース、プレスリリース
2013/9/10 原子炉メーカー、1960年前後に原賠法から過失責任の除外を政府に求めていたことが判明
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2013/pr20130910/

5.原子力損害賠償制度に関するブリーフィングペーパー
出版物 – 2013-03-04
(1) 『日本の原子力損害賠償制度の問題点——被害者保護のための改正を』
(グリーンピース・ジャパン 13年4月改訂版)
http://www.greenpeace.org/japan/ja/library/publication/1/

6.原子力災害補償専門部会の答申
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V04/N12/19591206V04N12.html
昭和34年12月12日
原子力委員会委員長
中曽根 康弘殿
原子力災害補償専門部会長
我  妻   栄
※ この答申は、私たちの裁判でも証拠として提出されています。